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官能刑務官は頑張っています1 イジメで中退

 刑務官になってから1年が経って、ようやく仕事に慣れてきた。大人しい性格をしている私は、暴虐な女囚たちに見下され、不遜な態度を取られることも多かったのだが、それも今はあまりない。
 常に毅然とし、声を張り上げてさえいれば、そうそう舐められることはない。それが分かるようになるために1年間があったようなものだ。
 しかしながら、まだ内心では女囚を恐いと思っている。それが偽らざる本心だった。
 なにしろ彼女たちは犯罪者なのだ。自分の都合のために他人を傷付けることができる人種だ。彼女たちの思考回路が理解できない。理解できないものを恐ろしいと思うのは、正常なことだと思う。一般人の99%は私と意見を同じくするはずだ。
 刑務官としてそれでは色々と問題があるのだが、根本的に私はこの仕事に向いていないのだろう。仕事になれてきた最近であってもそれは常々強く思うことだった。

 元々私は刑務官志望ではなく、弁護士志望だった。高校時代の成績から考えれば、弁護士になるのは不可能なことではなかったはず。けれどその夢は叶わなかった。イジメが原因だった。
 私の名字は菅野と言うのだけれど、クラスメイトの女子には、菅野をもじって、官能ちゃんなんて呼ばれていた。どう考えても馬鹿にした呼び方だ。
 まあ、別に、名字のせいで苛められたとは思わないが。たまたま彼女らの標的になっただけだ。そこに特別な理由なんて存在しない。
 それに、変な呼び方なんて、私が受けてきた苛めに比べれば可愛いものだろう。足を引っ掛けられて、お弁当を床にぶち撒けてしまい、周囲の女子多数の嘲笑を浴びながらお弁当の中身を掻き集めていた時の屈辱は、今でも忘れることができない。思い出すだけで顔が赤くなりそうになる。
 友達がひとりでもいれば、あるいは耐えることもできたかもしれないが、残念ながら私は孤立無援だった。
 担任の教師に相談したことも、あるにはある。でも先生は、自分のクラスで発生した問題に、迷惑そうな顔をするだけで、具体的な対策を講じなかった。
 それについては特に感想はない。そんなものだろう。むしろ、あえて言うなら感謝しているくらいだ。中途半端な対応をされて、無駄に希望を持たされるくらいなら、思いっ切り正面から切り捨ててくれた方が、こっちも諦めが付く。実際、そうだったし。

 高校を中退した私は、その後の4年を無為に過ごした後、刑務所の副所長をしている父の薦めもあって、刑務官となった。薦めというかコネなのだが。
 最初はせめて法曹界に関わりたいと思い、裁判所の事務官等を考えていたが、高校中退の私が父のコネなしにそこへ辿り着くことは難しかった。
 まあこれは言い訳で、父の庇護なしで働きに出るのが恐かっただけである。正直に言えばそんなところだ。

 そういう甘ったれた私が刑務官となって苦労するのは当然のことだったろう。
 素直なことを言わせてもらえば、なるべく早く転職をしたいと思っている。私はこの1年でずいぶんと成長したけれど、やはり女囚は恐い。普段は精一杯に虚勢を張って、なんとか彼女たちの上に立っているが、やはり恐いものは恐いのだ。
 とはいえ、少なくとも3年くらいは勤めないと、父の顔を潰してしまうことになるので、それくらいは耐えなければならない。お見合い結婚でもすれば、父を納得させた上で逃げられるのかもしれないけれど……。
 毎日のようにそんなことを考えてしまう。

 2年目の夏。新しい囚人が5人移送されてきた。その中に殺人や強盗などの凶悪犯がいないことを確認して私はほっとした。
 それさえ分かれば後のことはどうでも良かったので、彼女たちの経歴を私は淡々と見ていった。事前に把握しなければならない項目だけに絞って、流れるように目を通していく。
 1分もあれば全部終わるようなことだったが、しかし私の視線は途中で止まった。私の全身も凍り付いたように動かなくなった。
 高校時代に私を中退へと追いやった女が名簿の中にいたのだった。
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